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最近話題の「次亜塩素酸水の消毒効果なし」問題と次亜塩素系除菌剤の選び方について

筆者はとある除菌剤の製造に関わっているものです。最近、次亜塩素酸水に関わる問い合わせが多いので、自身の情報整理と皆様へのお役立ちができればと思い、記事を書いてみました。
今回の記事の主題について、結論から言うと、消毒効果はあります。ただ、それを販売、製造している方に問題があるだけです。
消毒効果なしと言っている報道機関はたぶんNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)の発表を大まかに読んで書いたんだと思います。

ちなみにNITEの中間報告について↓↓↓

https://www.nite.go.jp/data/000109500.pdf

 

ちなみに次亜塩素酸水とは何ぞや?という方に関しては下記ページ中の「酸性電解水」をご覧ください。

一般財団法人機能水研究振興財団|機能水とは


基本的には濃度しだいで人体に無害で効果も高い塩素系の殺菌料となっています。

 

 

 

 

 

問題の背景について

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によりアルコール消毒薬の不足が起き、その代替として今まであまり日の目を浴びていなかった次亜塩素酸系除菌剤にスポットが当たりました。
しかし、それにより次亜塩素酸系除菌剤の業界に元々あり、見過ごされていた以下のような問題が露見してきたのだと思います。


食品添加物殺菌料としての次亜塩素酸水の製法以外にも次亜塩素酸水の製法がある。それらは食品添加物ではない。
☆市販されている次亜塩素酸水のほとんどが「雑貨」であるが、雑貨という区分をわかっておらず、景表法や薬事法で定められている事項を守っていない
☆内容物種類、濃度、pH、製品寿命に関しての表記不良
☆「食品添加物=安全」ではない
☆公的(または自社)試験の結果を過大解釈している

 

これらの事項についてこれから解説していきます。

 

てっとり早くどんな除菌剤を選べばいいか知りたい人は目次の「まとめ:どういった除菌剤を選ぶといいか」まで飛んでいただくと良いかと思います。

 

食品添加物殺菌料としての次亜塩素酸水の製法以外にも次亜塩素酸水の製法がある。それらは食品添加物ではない。

次亜塩素酸水を作る製法は数種類あります。
☆電解法・・・塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解
☆酸性化法・・・次亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩酸またはクエン酸水溶液など酸性の溶液を混合する
☆炭酸法・・・炭酸ガスを溶解して酸性にする
☆その他・・・イオン交換樹脂のようなものを通して酸性にする方法(調査不足のため若干解釈が違うかもしれません)

 

このうち食品添加物殺菌料として認定されているものは電解法のみです。
また、電解法の中でも、以下のような規格を満たすものでなければなりません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf

酸性化法で混合する原料が食品添加物だから食品添加物と同等です。という胡散臭い文章を見ますが、食品添加物として認定されてはいません。というか食品添加物なら何を混ぜても食品添加物と同等という発想は危険だと思います。

 

さらに、流水使用が原則で、基本的にパッケージ等の移し替えての販売はできないようです。

http://www.fwf.or.jp/data_files/view/1731/mode:inline

つまり商品として出回っている(例えばスプレーなど)ほとんどの次亜塩素酸水は認められていないものとなります。

 

次亜塩素酸水のほとんどが「雑貨」であるが、雑貨という区分をわかっておらず、広告表記に関して法律を守っていない

市場に出回っている次亜塩素酸水のほとんどは、「雑貨」という区分で売られています。「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。


何が問題なの?と思われる方もいらっしゃいますが、販売の際の広告で使える文言が変わってきます。広告を作る際に主にネックになるのは以下の法律です。

 

景品表示法・・・証拠もないのに効果を謳ってはいけない。
☆薬機法・・・薬や化粧品でなければ、○○に効果ある、○○を殺菌するなどの具体的な効果を謳ってはいけない。期待させてもいけない。

 

私も専門家ではないので、わかる範囲で説明するとこんな感じです。
いろんな次亜塩素酸水のホームページを見ると次亜塩素酸水のほとんどが「雑貨」であるにも関わらず、薬機法を守っていない表記が多く見られます。


例)
新型コロナウイルス(インフルエンザ、ノロウィルス)に有効・・・特定のウイルスに効果があると謳っている
☆手指の消毒に、うがいに・・・雑貨は人体に使用できない
☆殺菌、滅菌、消毒・・・医薬品の用語であり、雑貨は除菌、抗菌など弱い用語しか使えない

 

他にもいろいろなものがありますが、代表的にはこのくらいです。この項目だけでも違反をしている会社は多いです。
みなさんも除菌剤を選ぶときに注意した方が良いと思います。法律を守らない会社は信用できません。

ところで、違反しているのになぜそのまま販売できるの?という疑問があると思います。おそらくですが、以下の3点のどれかに該当しているため、お咎め?を受けていないのだと思われます。


☆法律はあるものの、役所によってはOK(厳密にはOKではなく「ダメではない」という見解になる)を出している場合がある。
役所(各庁の薬務課、市の保健所など)ごとに見解が違う場合があるようです。この県ではOKでこの県ではダメということもあるとか。


☆数が多すぎて、役所では判断しきれない。
日々いろんな除菌剤が発売されており、役所は全てを把握していません。消費者から報告があったものを主に指導を行っているようです。


☆法律をそもそも知らない。

 

上2つに関してはとある役所にお電話してお聞きした話になります。
怪しい商品を見つけたら、とりあえず販売している会社がある地域のお役所(都道府県庁の薬務課またはそれに準じる課)にお電話してみてもいいかもしれません。

 

内容物種類、濃度、pH、製品寿命に関しての表記不良

まず、内容物を書いていない、または一部をブラックボックスにしているものは論外です(そんな商品があるのかわかりませんが...NITEが言っている以上あるのでしょう)。


次亜塩素酸水の性能は、液中の次亜塩素酸の濃度で決まります。次亜塩素酸の濃度が高ければ高いほど除菌効果も高いです。
ただ、どの化学物質でもそうですが濃度が高くなればなるほどそれだけ危険も増します。つまり表記していないのは非常に危険です。

 

また、次亜塩素酸水は溶液のpHがとても大事になってきます。

http://www.jes.or.jp/mag/stem/Vol.56/documents/Vol.56,No.2,p.59-63.pdf


(上記p62,Fig.6参照)この図のとおり、強力な酸化作用を持つ次亜塩素酸の存在割合は溶液のpHによって決まります。
なので、溶液のpH、できれば製造してからの経過日数ごとのpHの推移には気を付けないといけません。

 

さらに、製品寿命についての表記も必要です。なぜなら、次亜塩素酸水の主成分である次亜塩素酸(HOCl)は非常に不安定で自己分解をしやすい化合物であり、外部要因(光、温度、外気に触れるなど)でも分解します。つまり使う時に効力がない、という可能性もままあります。

次亜塩素酸水の寿命は、原料のキレイさにもよりますが、未開封冷暗所で3か月~1年になります。ちなみに冷凍保存は解凍時に次亜塩素酸が分解してしまいますのでおススメできません。

 

有効期限には気を付けましょう。

 

食品添加物=安全」ではない

www.mhlw.go.jp
まず食品添加物とは保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。
食品添加物の中には食べられないものもあり、最終製品になる前に除去することを前提に使われているものもあります(例:水酸化ナトリウム、塩酸、次亜塩素酸ナトリウムなど)
よくみる文言に「食品添加物だから安全!」とありますが、飲食可能なものだけが食品添加物ではありません。
似たような試験に飲用適合試験がありますが、これは継続的に飲用を行なわせたわけではないので、注意してください。

水質基準値と項目|水質検査分析センター


飲用適合試験よりは実際に生物に飲ませる/食べさせる経口毒性試験の方が信用できると思います。

 

皆さんは騙されないようにしてください。

 

 

公的(または自社)試験の結果を過大解釈している

大まかに言って2点あると思ってます。

☆ウィルス、菌に対する第三者機関の効果試験について
菌、ウィルスの除菌能力試験方法は試料に菌液を一定の割合(菌:試料=1:9とか1:19とか)で混合することで行なっています。つまりスプレー等の噴霧によって除菌性能が実証されているわけではありません。
よく除菌剤を部屋の中に噴霧することで「空間噴霧」を謳っているものがありますが、空間除菌という言葉は大げさかと思います。
なぜなら、空気中をランダムに漂っている菌に対し1:9とか1:19の割合で除菌剤をピンポイントで当てるのは難しいからです。加湿器のような機械で連続噴霧しているならまだしもと思いますが。

結局何を言いたいかというと、安全に関する第三者試験を行なっていても、現実の使用条件とは異なるため、同じ結果にはならない(=性能を保障できない)のではないか?という話です(目安にはなると思います)。
ちなみにですが厚労省の「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」によると、消毒には浸漬や清拭が推奨されており、噴霧についてはほぼ書かれていません(結核に対して5%フェノール清拭・噴霧という記載のみ)。

 

☆安全性に関する試験について
大体この手の除菌剤が自社製品の安全性を保障するためにおこなっている試験としては、急性毒性試験、皮膚一次性試験、眼刺激性試験、吸入毒性試験をよく見ます。
これらの試験を通すことで、食べても飲んでも、吸っても、目に入っても安全と言っている所が多いと思います。

ただ、これらの試験は基本的にマウスやラットを使用しています。ヒト以外で薬品の効果を試すのによく使われています。
マウスはヒトと遺伝子的に99%以上一緒ですが、寿命や代謝系が異なるので、ヒトと同じ結果になるとは限りません。

遺伝学電子博物館

なので、上記試験結果から人体に対しても安全というのは少々、気が早いと思います。

 

 

まとめ:どういった除菌剤を選ぶといいか

☆医薬品、医薬部外品の認定を受けているもの

この辺の認定を受けていればひとまずは信用できるでしょう。

ちなみに次亜塩素酸水で唯一医薬品を受けているフリーキラという商品があります。

 

 

こちらの商品は次亜塩素酸水のような優れた機能を持った機能水を研究している組織の機能水研究振興財団も協力しており、学術的な裏付けもあります。


☆なるべくキレイな原料を使用していること。
例えば食品添加物認定を受けた原料を使っていて、原料水や希釈水には最低でも純水、できれば超純水を使用しているものが望ましいです。原料がキレイであればあるほど、除菌剤の寿命は長くなります。原料水に水道水を使っているものは最悪です。水道水は品質が変化する上、微量の有機物やバクテリア等も存在するため、有害物質の生成や次亜塩素酸と反応し有効成分が失活する恐れがあります。


☆製造元がはっきりしていること。できれば化学メーカーであることが望ましい。
販売元は正直どうでもいいので、製造元に注目するといいです。化学品を製造している工場なら、他社よりは化学知識に精通しているので大丈夫でしょう


☆製造日、消費期限、保存条件がはっきりしていること
次亜塩素酸系除菌剤はかならず寿命があります。次亜塩素酸ナトリウムも次亜塩素酸も蛍光灯程度の紫外線やわずかな熱でも分解が加速します。その旨がしっかり書いてあるとよいでしょう。


☆菌やウィルスに対する試験、安全性に対する試験を公表している
三者機関での試験は、商品の信用性という面で非常に大切です。ただ、噴霧とは条件が違う点には注意してください。特に実際の製品と試験時の濃度が違うものがあるので注意してください。
菌やウィルスは具体名を出すと薬機法に抵触する恐れがある(その菌、ウィルスに対する効果を期待させる)ので、具体名を出すことはできません。


☆人体に対する使用を促していないこと(医薬品、医薬部外品の認定を受けているものを除く)
雑貨で飲んでもいい、うがいしてもいい、手指への使用可などの言葉は使用できません。法律は守りましょう。

 

景品表示法、薬機法を順守しているもの

法律の順守は商品やそれを売っている企業への信頼にもつながります。

誇大広告になっていないもの、「滅菌、消毒、殺菌」などの用語を使用していないものは、法律をしっかり調べて販売している(たまたまかもしれませんが)ので、少しは信用できるかと思います。

 

上記を守っている除菌剤はまあまあ信用できるかなと思います。

 

 

さいごに;本記事の注意点

※この記事は営業妨害のために書いたものではありません。なので特定の除菌剤について糾弾等はおこないません。現在の除菌剤業界をできるかぎり安全、安心なものにしたいと願って書いています。
※本記事では除菌、ウィルス除去といちいち書くのが面倒なので、菌およびウィルスを除去することをまとめて除菌と言っています。

※この記事は100%正しいとは限りません。あくまで一個人の意見だと思ってください。記事内に間違いがあれば適宜修正を行います。