前回、環境計量士試験に合格した私ですが、重要なことを忘れていました。
実はこの環境計量士、試験に合格しただけではなれないんです。
環境計量士になるには試験に合格したうえで以下の条件を満たす必要があります。
・計量に関する実務に1年以上従事
・環境計量講習(1週間)を修了
・薬剤師(濃度関係のみ)
・職業訓練指導員免許取得(濃度関係は化学分析科、騒音・振動関係は公害検査科)
・職業能力開発校(濃度関係は化学系化学分析科、騒音・振動関係は化学系公害分析科)を修了
・技能検定のうち化学分析 (1級または2級)又は産業洗浄(実技試験の科目は化学洗浄作業)に合格(濃度関係のみ)
・技術士登録(濃度関係は衛生工学部門登録、騒音・振動関係は物理および化学科目の応用理学部門に係る本試験に合格)
お仕事で計量に関する実務をしていればいいのですが、私の勤める会社は無縁です。
また、ほかの条件も簡単に満たせるものではありません。
と思いましたが、引用2つ目にある「環境計量講習(1週間)を修了」はいけそうな気がしたので調べてみると、どうやら受講料さえ払えば誰でも受けられるようです。
受講料:91,100円
この金額を払えればな!!!
幸いにも弊社は資格取得に寛容な会社ですので、受講費用もどうやら負担してくれるようです。(ラッキー
というわけで今回は環境計量講習(濃度関係)を受講体験記となります。
これから受ける人へ何かお役に立てることがあれば幸いです。
受講のための書類提出
とりあえず申し込みをしないと受講できません。
申し込みの書類は以下のサイトからDLできます(本年度分は終了しています)。
受講時期は6~10月くらいで計6回ほどあります。
センターの人によると1年の合格者が500人ほどで、講習の必要ない人が4割(200人)。残り300人で講習を受けられる人は210人(30人×7回)なので、枠は必然的に溢れます。そのため早めの申し込みを心がけましょう。
あと北の大地の人は内地の暑さに慣れてないので、6月か9月の受講をお勧めします。
提出書類に関しては上記リンクにもありますが以下の通りです。
・履歴書
・受講申請書
・受講に関する調査票
・顔写真
・環境計量士合格証書の写し
・返信用封筒
基本的にガイドに従って書けば問題はないと思います。
大事なのは産総研内にあるさくら館という施設を利用するかしないかという選択です。
結論から言いますとさくら館は利用したほうがいいです。なぜかというと...
☆宿泊費が1泊1700円
☆朝と昼食が出る。1食あたり朝360円、昼食560円。
☆学校の寮みたいなものではなく、普通のビジネスホテルのような部屋
どんな感じかというと
おおむねこんな感じです。窓の外の自然が豊か。
☆自転車を貸し出してもらえるので、市の中心部にいけるため遊びや買い物に便利
☆研修を受ける建物まで徒歩数分
特に研修施設に近いのがいいです。産総研の近くにはホテルがなく、産総研の門から研修施設までがそもそも遠いので、朝の時間に余裕を持てます。
受講準備
最速の受講日の1か月前くらいに受講日の決定通知と受講日程、その他持ち物などの諸注意が書かれた紙が郵送されてきます。
これをもとに持ち物を決定します。
この中で忘れてはいけないものは事項決定通知(またはコピー)のみです。
持ち物に白衣、安全メガネ、定規、電卓がありますが、これは借りられるので荷物が多くなる場合は持っていかなくても大丈夫です。
※ただし数に限りがあるので念のため持って行ったほうがいいです
印鑑も最悪忘れてもサインで済むので大丈夫です。推奨はしないけど。
服装に関しては派手なものでなければ私服でOKです。スーツで行く必要はありません。
講習中のさくら館の食事は1食あたり朝360円、昼食560円です。講習2日目に釣銭がないように徴収されるので細かいお金を持っていきましょう。
さくら館の設備についてはこんな感じです。
印をつけている歯ブラシ、櫛、髭剃り、ティッシュ、洗剤は部屋に備えがありませんので持参しましょう。
特に必要なのがティッシュです。ないと厳しいものがあります。いろいろな意味で。
館内には洗濯機と乾燥機があるので、洗濯をする方は洗剤が必須です。周辺にはトラベル用の小分けの洗剤は売ってないです。私は現地で遠出して買いに行ったので、自身であらかじめ用意することをお勧めします。
他の歯ブラシ、櫛、髭剃りに関しては販売機が館内にあります。
出発準備に関してはこれくらいです。
講習前日
私が住んでいるところは北の大地ですので、朝一番の飛行機で行っても講習当日の時間に会場にたどり着くことは不可能です。よって前日入りすることにしました。
先述の通り、さくら館には講習の前日から宿泊することが可能です。
(もちろん後泊も可能です)
とりあえず目的地は茨城県つくば市の産業技術総合研究所 ということで、何も考えず飛行機は羽田空港で取ったのですが、後から調べたところどうやら成田空港のほうが近いようです。
飛行機で行く皆さんは成田空港がおすすめです。
羽田空港からは京急で品川に行き、京浜東北か山手線で秋葉原へ、秋葉原からつくばエクスプレスに乗ってつくば市まで行きます。
羽田~品川~秋葉原~つくば市までの所要時間は約2時間です。遠いので時間に余裕を持って移動しましょう。(新千歳~羽田は1時間半
つくば市から産総研のさくら館まではバスで行くことも可能ですが、バスを降りてからさくら館まで15~20分ほど歩くのでおすすめしません。
おすすめはタクシーで、10分強でさくら館まで直接行けます。便利。
さくら館に着くとフロントの方から宿の説明を受けます。ざっくり以下の通り。
・外出する際は部屋鍵を必ずフロントに預けること
・受講の名札を持ち歩くこと
・部屋のLANポートに無線ルーターはつながないこと
鍵をもらってとりあえず部屋に行き荷物整理をします。部屋がどんな感じかについては目次の受講のための書類提出を参考にしてください。
到着した時間が18時くらいでしたので、外へは行かずに構内で食べることにしました。
ちなみにさくら館の部屋はオートロックではないので、外出する際はしっかり鍵をかけましょう。
場所は産総研中央にある厚生センター食堂です。
http://solnchem.jp/sscj/39/img/AISTrestaurant.pdf
夜はメニューが少なく2種類の定食から選びます。お値段は540円です。
ちなみに魚介フライ定食を食べました。
このあと上の階にあるファミリーマートでデザートを買ってお部屋に戻りました。
講習1日目
さくら館でまず朝ごはんを食べます。食べる時間は7:30~8:30ですので早めに行きましょう。朝ごはんは洋食と和食が選べます。
初日の講習は8:50集合です。実習棟までは徒歩5分くらいなので計画的に行動しましょう。
注意すべき点は実習棟には自動販売機がないので飲料水は事前に用意しておく必要があります。さくら館であらかじめ買っておくとベターです。
自販機はかなり良好な価格設定です。
ちなみに初日はビッチリ17:00まで講義だけです。寝ないようにしましょう。
※寝てても問題ないといえばないのですが後日の実習の手助けにもなるのでちゃんと聞きましょう。僕は1/10くらい寝てました。
初日は講義後に懇親会が開催されます。
懇親会は男性2500円、女性2000円でほぼすべての人が参加していました。
他会社の人と交流を深められるだけでなく、これからの実習でも協力することになるので、ぜひ参加しましょう。
ちなみに一人ひとりの簡単な自己紹介もありました。苦手な人は事前に用意を推奨します。
講習2日目
2日目からは実習が始まります。
最初の実習はGC-MS分析でした。標準物質の検量線を作りヘッドスペース法により未知試料の中の当該物質の濃度を測定するといった感じです。
※実験風景は撮影許可は出ていましたが、掲載許可は得られなかったので実験風景を撮影していません。ご了承ください。
まず最初に、測定機器の説明を受けてから、試料調製に入ります。
実験に関しては化学実験の経験のない方も対象にしているため、器具の使い方から丁寧に教えてもらうことができます。また、実験テキストも詳細に書かれています。
そのため、日ごろ分析操作に従事している人や、学生時代に実験の経験を多く積んでいる人には少々退屈かもしれません。
実験は3人1組または4人1組でおこないます。仲良く協力しましょう。
スムーズに事が運べば、16:30ころに実験は終了します。
最後のほうはレポートを書きますが、実験結果について3行くらいコメントすればいいので楽勝です。
この日は終わった後に時間があったので、自転車でつくば駅周辺にお出かけしました。
外出の際の注意ですが、産総研は夜になると門が閉まります。戻る際には暗証番号が必要になります。ちゃんと覚えておきましょう。暗証番号は講習初日に教えてもらえます。
さくら館から産総研構内~歩行者自転車通路を通り、だいたい20分前後でつくば駅に着きます。
ちなみにルートはこんな感じです。駅には100円で利用できる駐輪場があるので自転車を停めるスペースもあるので安心です。
道中とつくば駅はこんな感じ。
夜ご飯は駅近くのラケルというお店でオムライスとガーリックチキンのセットを食べました。
見た目通りとても満足感がありながらもとても美味しいお店です!つくば駅を訪れた際は寄ってみてはいかがでしょうか?
近くのDAYSTOWNというところにはゲームセンターもあり遊ぶこともできます。
とりあえず今日は周辺をいろいろ探索して終了しました。
あれ?これ講習の記録だよね?
講習3日目
最終日になる前にさくら館の宿代をフロントに支払っておきましょう。最終日のチェックアウトの時に支払うとすごく迷惑になりますので。
3日目はイオンクロマトグラフを使った排ガスのSOx分析を行います。
実際の排ガスを用いるわけにはいかないので、試料はガスボンベから取ります。
実験は排ガスを吸収液に通し、その試料をイオンクロマトグラフィーで分析する感じでした。
この日も16:30ごろにすべての実験が終了したので自転車でまたつくば駅周辺に出かけました。最終日は後泊せず帰るため、この段階でお土産を買っておくためです。
つくば駅周辺にはクレオスクエアという商業施設があり、その1階にお土産屋さんがありました。
ここで茨城のお土産を買いました。買ったもののレヴューについてはまた後日別記事でご紹介します。
今回夜ご飯はラーメンを食べました。
「九州ラーメン」のトンコツ、鶏ガラといった「動物系スープ」から脂を分離し「コク」だけ残したスープと、それに負けないような濃い、かつお節、さば節、煮干しといった「魚系の和風スープ」。この二つを別々に抽出し、丼で合わせたものです。
本当にこの解説文のとおり、濃厚なコクがありつつ魚介の風味が感じられる素晴らしいスープでした!普段ラーメンは普通盛りしか食べられないのですが、ここでは大盛りをたべることができました。とても美味しいので皆さんもぜひ行ってみてください!
この後にさくら館に戻り荷物の整理と洗濯をして就寝しました。
講習4日目
最終日なので終了後そのまま帰ります。そのため朝のうちにチェックアウトを済ませ、研修棟に荷物を置いておきます。
4日目は原子吸光分析をおこないました。
試料をメスアップして、染色して抽出し分析を行う実験です。最終日は1時間早く実験を行うため結構急ピッチで行います。ですがサポートも手厚いので心配はありません。
実験終了後は添削されたレポートの返却と修了証書がもらえる修了式があります。
名前が呼ばれて証書が配られるのでなんだか中学校の卒業式みたいで懐かしかったです。
すべてが終わって16:45くらいでした。
終わりは金曜日なので、タクシーは混雑することが予想されます。昼休み中に予約しておきましょう。もしくは産総研の正門から、羽田空港行きのバスが出るのでそれに乗って帰れます。
ここから羽田空港に戻る場合、2時間ほどかかるので、飛行機の発着時間は20:00以降にしたほうがいいと思います。
おわりに
今回は環境計量士合格後の環境計量講習についてレポートしてみました!
合格後の講習についてあまり詳しく書いてある記事が見当たらなかったので、書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
みなさまの講習の参考になれば幸いです。
産総研には普段入る機会もないので、貴重な経験になりました。
今回で出張旅費をかなり稼げたので、今度は環境計量士(濃度)ではなく(騒音振動)を取ってまた講習に来たいなと思います。
それではまた!